Raspberry PiのCPU放熱の重要性、ご存じですか?
Raspberry Pi 4は高性能なCPUを搭載しており、多様なタスクや計算処理が可能になりました。
しかし、高い処理能力は同時に熱を発生させる要因でもあります。
・Raspberry Piをなぜ放熱した方がいいのか?
・CPU冷却するにはどうしたらよいか?
・具体的な製品例は何?
・実際にどれぐらい冷却できるか?
これらの疑問を解消していきたいと思います。
それでは順に見ていきましょう!
CPUが熱くなるとなぜダメ?
CPU負荷が高いタスクを実行する際、CPUがどのように加熱し、動作温度が上昇するのかを解説します。
高温状態がもたらすCPUクロック制限と性能低下について
CPUの動作温度が上昇すると性能に影響します。
高温状態になるとCPUクロック速度に制限が掛かります。
クロック制限されるとCPUの処理性能が落ちます。
これによるアプリケーションやタスクの実行速度への遅くなります。
要は、熱くなるととてももっさりした動作になってしまいます。
ラズパイのモデルと温度制限閾値は次の通りです。
電子部品の寿命に及ぼす影響と信頼性への影響
高温状態はCPUの処理性能だけでなく、Raspberry Pi 4内の他の電子部品にも影響を及ぼします。
高温が電子部品の寿命に与える影響や故障リスクについて説明します。
電子部品が長時間高温で動作することで、寿命が短くなってしまいます。
一般的には温度が10度高くなると寿命が半分になると言われています。
半導体部品メーカーなどが寿命試験で割り出していて、色々な安全規格でも採用されている考え方です。
確かなことは、ラズパイにヒートシンクを付けなくても動くかもしれませんが、寿命は確実に下がります。
過熱が放置された場合、Raspberry Pi にはさまざまなリスクが伴います。
過熱問題を放置したまま使用すると、
CPU性能が下がってしまうだけでなく、寿命も短くなってしまいます。
適切な対策が必要です。
ヒートシンクの利点と特徴
なぜラズパイが熱くなるとなぜダメなのかがが分かってきました。
それでは冷やすにはどうしたらよいでしょうか?
安くて効果が大きい方法としてヒートシンクがおすすめです。
ヒートシンクの基本概念と熱伝導のメカニズム
ヒートシンクは、高温の部品から熱を吸収し、周囲に効果的に放熱するための重要なデバイスです。
ヒートシンクはアルミなどの熱伝導性の良い材料でできています。
熱い電子部品に密着して、熱を逃がす役割をします。
大事だと言われているのは、次の2つです。
・熱伝導率
・接触面積
ジュールの法則に基づくらしいのですが、難しいことはさておき。
何となく感覚は分かると思います。
小さい物よりは大きい方がいっぱい逃がせそうですし、
プラスチックより金属の方がすぐ冷えそうですよね。
そんな理解で良いようです。
どんなヒートシンクが良い?
ヒートシンクに使用される素材には、アルミニウム以外にも銅や合金などがあります。
ヒートシンクで検索すると、CPUやメモリ部品に取り付ける放熱フィン形状のものが出てきます。
他にはファンと組み合わせて、より効率的に冷やすものもあります。
ファンも悪くないのですが、電気代が増え(微々たるものかもですが)ますし、ファンが壊れることもあります。
ヒートシンクも、先ほどのとおり、小さいより大きい方が効果が大きいです。
ただし、ヒートシンクを大きくするとケースと干渉して物を選ばないとうまくいかなかったりします。
そういった課題を解決できるものとして、ケースとヒートシンクを兼ねた製品があります。
筐体を熱伝導の良いものにして、サイズを抑えながらしっかり冷やすという考え方は、
実はスマホでも取り入れられている手法です。
Raspberry Piではどうやって実現できるのでしょうか?
具体的な製品例をご紹介したいと思います。
おすすめのRaspberry Pi 4アルミケース
おすすめのRaspberry Pi 4アルミケースをご紹介します。
パッシブ冷却です。つまり、ファン不要のタイプです。
パッシブ冷却でケースとヒートシンクを兼ねるコンセプトの製品はいくつかありますが、
物によってはGPIOにアクセスできないものがあります。
紹介した製品は、どれもGPIOが使えるものです。
その中で比較的安価なものをピックアップしました。
冷却効果を試してみた
定性的にはアルミケースでヒートシンクとケースを兼ねて冷却する方式が良さそうだと分かりました。
実際にどれぐらいの効果が出るのでしょうか?
実際に購入して試してみました。
今回の実験構成
ラズパイ4 モデルBと、先ほどご紹介したアルミケースのひとつを使って実験しました。
具体的には次を使用しました。
動画再生は負荷が大きく、ラズパイモデル3Bなどすぐに温度閾値に達してしまいます。
ラズパイ4だとどうなるのでしょうか?
アルミケースがある状態と無い状態で、
Chromiumブラウザでyoutube動画を流しながら、
Pythonプログラムで温度を計測して比較しました。
比較結果がこちらです。
青:デフォルト
オレンジ:アルミケース有り
・計測開始時点で既に差がついていた。
・動画再生を始めると、
どちらも温度が急上昇する。
・アルミケース有りの方が変化が緩い。
・15分計測した結果、
アルミケース有りで、
CPU温度が約20℃ダウン。
顕著に差がつきました。
アルミケース有りだと約20℃もCPUを冷却することができました。
CPUの動作制限へマージン十分です。
また、仮に10℃で寿命2倍とすると、4倍も寿命を延ばせる計算になります。
昨今、半導体不足でラズパイなどのデバイスも決して安くはないです。
アルミケースをヒートシンクにしてCPUを20℃冷やすことができました。
これが2000円弱でできるなら、寿命4倍の経済的な効果も期待できそうですね。
まとめ
ということで、今回は次の内容をお届けしました。
- CPUの過熱問題とそれが及ぼす潜在的なリスクの再確認
- ヒートシンクやアルミケースが持つ高温対策の重要性と利点
- おすすめのRaspberry Pi 4アルミケースの特徴と選択のポイント
- 実際のテスト結果によって裏付けられた冷却効果と性能向上の効果の総括
いかがでしたでしょうか。
動くからいいじゃん、で片付けられないことが分かりました。
今回はYoutube動画再生でしたので動作制限する温度に達しませんでした。
もっと厳しい条件、例えば夏の暑い環境であったり、もっと高負荷動作をさせれば制限が掛かることでしょう。
アルミケースをヒートシンクにしてCPUを20℃冷やすことができれば、その制限を回避できる可能性があります。
アルミケースが性能アップにつながる、というのは意外に感じる方もおられる結果だったのではないでしょうか。
冷却はとても重要ですね。
今回は以上となります。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
それでは、読んで頂きありがとうございました!